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Chapter 1

なぜ今考えるべきか

生前と相続後で手取りが最大491万円変わる理由

はじめに: 空き家849万戸時代

総務省の調査によると、全国の空き家は約849万戸。そのうち「その他の住宅」(相続後に使われなくなった家など)は349万戸にのぼります。

「まだ親は元気だから」「いつかは考えないと...」と思いながら、先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか。

先延ばしのリスク

親が認知症になると売却の意思決定ができなくなります。成年後見人を立てても、家庭裁判所の許可が必要で手続きが複雑化します。親が元気なうちに、家族で話し合っておくことが重要です。

生前と相続後の比較

実家を売却するタイミングによって、税金や手続きが大きく異なります。以下の表で比較してみましょう。

項目 生前に売却 相続後に売却
3,000万円特別控除 使える 条件付き
親の意向確認 できる できない
相続登記 不要 必要(義務化)
遺産分割協議 不要 必要
売却までの維持費 親が負担 相続人が負担

具体的な差額シミュレーション

売却価格2,000万円、取得費不明の場合:

  • 生前売却: 3,000万円特例で譲渡所得税 0円
  • 相続後売却(特例なし): 譲渡所得税 約380万円
  • 差額: 最大380万円(相続登記費用等含めると約491万円)

3,000万円特別控除とは

居住用財産を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。これにより、多くのケースで譲渡所得税がゼロになります。

生前売却で特例を使う条件

  • 親が住んでいた家を売却する
  • 親が住まなくなってから3年後の12月31日までに売却
  • 売却先が親族でない
  • 過去2年間にこの特例を使っていない

相続後に特例を使う条件(被相続人の居住用財産特例)

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋
  • 相続開始直前に被相続人が一人で住んでいた
  • 相続発生から3年後の12月31日までに売却
  • 売却代金が1億円以下
  • 耐震リフォームまたは解体して更地で売却

注意点

相続後の特例は条件が厳しく、特に「耐震リフォームまたは解体」が必要です。解体費用は150〜300万円程度かかるため、トータルで見ると生前売却の方が有利なケースが多いです。

相続登記の義務化

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記にかかる費用

  • 登録免許税: 固定資産税評価額の0.4%
  • 司法書士報酬: 5〜10万円程度
  • 戸籍謄本等: 数千円〜1万円程度

例えば評価額1,000万円の物件なら、登録免許税4万円+司法書士報酬等で、合計10〜15万円程度が目安です。

期限の重要性

実家じまいには、いくつかの重要な期限があります。

手続き 期限 起算日
相続放棄 3ヶ月以内 相続開始を知った日から
準確定申告 4ヶ月以内 相続開始日から
相続税申告 10ヶ月以内 相続開始日から
相続登記 3年以内 相続を知った日から
3,000万円特例 3年後の12/31まで 相続開始日から

ポイント

期限を過ぎると、税金の特例が使えなくなったり、過料が発生したりします。相続が発生したら、まず期限を確認し、スケジュールを立てることが重要です。詳しくは期限カレンダーをご覧ください。

まとめ

  • 生前に売却すると、3,000万円特例を使いやすく、手続きもシンプル
  • 相続後は条件が厳しくなり、費用も増える
  • 親が認知症になると売却が困難に
  • 相続登記は3年以内に義務化(過料あり)
  • 税金特例には期限があるため、早めの行動が重要

次のステップ

次は、4つの選択肢(売却・賃貸・維持・リフォーム)についてそれぞれ詳しく解説します。まずは売却するから読み進めてみてください。

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